薬草コラム — レシピ
ヴィーガン・レモンカード - 葛粉とココナッツクリームで -
如月(きさらぎ/2月)。 "衣を更に重ねて着る"から、「衣更着(きさらぎ)」とも書きます。 寒さ残る...というよりも、暖冬だった糸島に、 今年いちばんの寒さがやってきたようです。 こんな時期の、 一番の元気色は、レモン色! 今年も各所から、籠いっぱいの無農薬レモンが届きました。 (いつもありがとうございます^^🍋) これはつい先週、わたしの糸島の大事なお友達(もはや実家...?) のカントリーチェアさん宅での一枚。メイヤーレモン、リスボンレモン、あわせて100個以上の大豊作! みなさんの お好きなレモン・レシピは何ですか? 私は、レモンといえば、【レモンカード】。 好きで好きで、もう何年も作っています。 (いつものレシピは、去年のコラムに。) そんないつものレモンカード 、 今年は、一風変わったトライを重ねてみました。 出来上がったのは、 ココナッツオイルや葛粉をつかった、ヴィーガン・レモンカード 。 待ち時間には、ドライレモンを作りました 卵もバターも使わない、はじめてのヴィーガン・レモンカード。 どうなるかなと思いきや、これが思った以上に、大正解! バターも卵も入れずとも、 ココナッツクリームと、ココナッツオイルを使うことでコクが出て (でも不思議と、しつこくない) バターで固めるところは、葛粉で十分代用可能でした。 (もちろん、いつも愛用の、廣久葛本舗さんの、素晴らしい本葛を使用) そして、卵黄の代わりの黄色の秘密は... オーガニック・ターメリック! (便利なiherbで購入、ココナッツオイルもココナッツクリームも、全部オーガニックで揃います) こうして、オリジナルレシピに負けず劣らずの、身体に嬉しいレモンカードが出来上がりました。 濃い黄色はオリジナルレシピ、薄い黄色がヴィーガンレシピ レシピ 写っていないけど、これに「ココナッツクリーム」も使います これですね!ココナッツ「ミルク」ではなく、「クリーム」です。手に入らない方は、豆乳だけでも作れます 材料 (作りやすい量 / 小瓶2つ分くらい) 無農薬レモン 2-3個くらい (果汁30cc程度となる量)* 葛粉 5g 豆乳 20cc 甜菜糖 50g ココナッツ・クリーム 80cc** ココナッツ・オイル 50g ** ターメリックパウダー 適量 * レモンの皮(レモンゼスト)は2,3個分と言わず、多ければ多いほど美味しい!果汁の量もお好みで調節してくださいね。 ** ココナッツの香りが苦手な方は、ココナッツクリーム→豆乳やアーモンドミルクに変更、オイルも無香タイプのココナッツオイルを使うと良さそうです。 作り方 葛粉を豆乳で溶いておきます。 無農薬レモンをさっと洗い、黄色い表面部分だけを削り、レモンゼストを作ります。(やり方は、去年のコラムを参考にしてください。) レモン果汁を絞ります。このレシピだと30ccくらいが適量でしょうか。 琺瑯なべに、1と、甜菜糖、ココナッツ・クリーム、ココナッツ・オイルを入れ、混ぜながら中火でゆっくりと加熱していきます。 5. ぐるぐると混ぜながら加熱していくと、ふつふつ、とろり。だんだんととろみがついてきます。 6. とろみが十分ついてきたら、レモン果汁と、ターメリックパウダーを加えます。 7. このまま火を止めても良いし、もう少し硬さがほしければ水分を少し飛ばしてください。 8. お好みの固さになったら、最後にレモンゼストを加えて、完成!しっかりと煮沸消毒した瓶にいれて、完成です。 オリジナルのレシピよりもさっぱりとした口当たりで 小さなタルトカップにいれて、レモンタルトにしても美味しそう...。 そのままでも止まらない美味しさ! 葛粉使用なので、保存期間はやや短め。 オリジナルレシピのように冷凍もできませんが、 しっかり煮沸できていれば冷蔵で1ヶ月は大丈夫! ...
赤い宝石、ヤマモモ
田植えの時期だというのに雨がなく心配していた糸島にも、梅雨がやってきようです。そんな安堵の雨つぶが落ちるほんの数日前、滑り込みで、旬のヤマモモを拾いにいってきました。
ヤマモモ、わたしはこの複雑な果実に、いたく魅力を感じます。まず、ぎゅうっと甘く、ぎゅうっと酸っぱい。その勢いの良い喉ごしが、とても心地よい。そして、そのドンとした見た目以上にジューシーで、噛みしめると果汁がこぼれる。味わいは、苺のようなフルーティーさ、そして裏側に、じわりと不思議な松やにの風味。その普段馴染みのない風味が、じゃくり、と口のなかで潰れていく果実の粒子の小気味良い感触とあいまって、とてもクセになり、他の果実では味わえない感動をくれるのです。
さて、今年はどうしよう、どう遊びましょう、あれやこれやと妄想を巡らせながらのヤマモモ拾い。今年は例年より、すこし少なめです。とにもかくにも先ずは、毎年恒例の山桃の赤ワイン煮。ゆっくりアクをすくいながら、重めのワインでとろとろ煮詰め、深く真っ赤なシロップに。
松の香りがするからか、針葉樹系ハーブであるジュニパーベリーがしっかり香る個性強めのジンとも合わせたくなりました。今、これを書きながら、ちびりちびりと飲んでいます。
ヤマモモには、おそらく、園芸種なのであろう大粒のもの(2-3cm~)と、野生種に近いのであろう小粒のもの(1-2cm)があります。よく見かけるのは、後者でしょうか。木の下に、なにやら赤黒いものがたくさん落ちていたら、観察してみましょう。今の時期ならばヤマモモかもしれません^^(少し前なら、それはきっと桑の実ですね)庭木に多いので、ヤマモモがお庭に生えている(ありがたい)お友達を探しましょう!そしてピクニックシートをもっていって、木の下にひかせてもらって木に登って、ゆさゆさと枝を揺らして、ぽとぽと落ちるヤマモモを、ルンルンと拾いましょう。ヤマモモは、木肌もつるりとしていて、枝分かれもちょうどよく、するする登りやすくて好きな木。
そのまま木の下で、ピクニックなんかも、いいですね^^
山椿と山茶花の、珊瑚色シロップ
一重で、すこし、控えめに咲く山椿。 そして、遠くからでも、その彩りを教えてくれる、山茶花。 どちらも、冬を彩り、桜へのバトンタッチする頃まで、長く私たちを楽しませてくれる花々。 花弁の色も、赤・ピンク・紋入りから、白や黄色まで。 古来から愛されていることもあり、地域特有の種や、園芸品種も多いですね。 椿と山茶花がなかったら、きっと日本の冬はもっと寂しい色合いだったことでしょう。 たくさんの野の花たち。椿、山茶花、木瓜、桜、菜の花、蓮華、菫... 椿と山茶花 椿と山茶花は、どちらもツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹です。 両者ともに身近だけれども、 実は見て楽しみ、唄って楽しみ、生垣となるだけではなく、 油を与えてくれ、お茶にもなり、そして、お花をいただくこともできるのです。 お茶にすることについては、緑茶の木である、茶の木(チャノキ)も、ツバキ科ツバキ属と知れば納得。 ただし、椿や山茶花のお茶の味わいは、お茶と違って大層あっさりです。 また、椿の花は、「山茶(さんちゃ)」と呼ばれる生薬で、開花直前のものを天日干ししたものを煎じ、滋養強壮、健胃、整腸に用います。 生葉は、生汁を擦り傷や切り傷に使うこともできます。 椿と山茶花の違いは、植物構造や、生存戦略から見れば多々ありますが、 わかりやすい違いは、花の散り方。 "椿は花ごと"ぽとりと落ち、"山茶花は花びらがぱらぱら"と落ちていきます。 散りゆく間も、その木の下を、それぞれの風合いで彩ってくれます。 そんな山椿と山茶花で、 珊瑚色の美しいジャムとシロップ、そしてゼリーを作りました。 奥がジャム、手前がシロップ。 Your browser does not support our video. 思わず、ため息が漏れる美しさと、愛おしさ。 レシピ 八分咲きくらいの、山椿や山茶花のお花をいただきます。(もっとも見つけやすいのは、ご自宅の庭でしょうか。その場合は一年を通じ、除草剤等がまかれていないことをご確認ください。) その花弁のみをとりわけ、たっぷりのお湯でさっと湯がきます。 ゆがいたら、冷水にとり、最低でも30分は水にさらします。これを、2回ほど、繰り返します。 お鍋に、お好みの分量の水と、お好みの分量のお好みの砂糖類を加え火にかけ、溶かしていきます。(アバウトでごめんなさい!でも、どんな分量でも作れるんです。少なかったら後から足せるので、少なめからやってみてくださいね。花弁が少なくてもシロップに色味は出ます。お花が多いとそれだけ色も濃くなり、具沢山で贅沢な感じに。) そのお鍋に、水を切った花びらを加えます。 加熱しながら、酸を加えてゆきます。クエン酸でも、レモン果汁でも、レモンスライスでも、他の柑橘でも。特に量に決まりはありませんが、写真のようなくすんだ紫から、はっきりとした赤やピンクに発色するまで加えます。味見をしながら、少しずつ。個人的には、甘みがキュッと引き締まるくらいが好きです。 軽く煮立たせながら、全体をなじませます。アクが浮いてきたら丁寧にすくいましょう。 シロップだったらこれで完成!ジャムにしたい場合は、ペクチンや、ペクチンを含有する林檎の皮などを入れながら、好みの濃さと質感になるまで煮詰めてください。花弁や糖分が多い場合は、ペクチンを入れなくてもトロリとします。 ゆがいているところ。色がさっと暗くなりますが、大丈夫!酸を加えれば、戻ります。 酸を加えると、花弁も、シロップ部分も、嘘みたいに綺麗に発色します! 同じ要領で、椿や山茶花の、ピクルスも作れます。 しっかりアク抜きをしたら、三杯酢などに漬け込むだけ。この場合も、くすんだ色味があっという間に美しく発色します! 花弁のほろ苦さと、その肉厚な食感を楽しめます。 ちょっとした、彩りとお口直しに。 まるごと、天ぷらでいただくのも、素敵です。 おっと、忘れていました! ゼリー^^ ちょうど、糸島の海で拾った天草を使って、寒天を作った残りがあったので、今回はそれを使って。 普通の寒天パウダーを使う場合は、 寒天 1g お水+椿と山茶花のシロップ 250cc くらいの割合が良さそうです。 寒天は、火にかける前にしっかり水となじませてください。 甘さはシロップの甘み次第で調節してくださいね。 椿と山茶花シロップは、微細な香りと味わいなので、 クランベリージュースなどを足しても良いかもしれません。 トッピングには、椿の花粉を。 椿も山茶花も、日本原産の植物。 椿にはCamellia japonica(カメリア・ジャポニカ) 、山茶花にはCamellia sasanqua (カメリア・サザンカ)という学名がついています。 昔は、山茶花もまとめて、椿とよんでいたようです。 (万葉集にも、椿はたくさん登場します。) もういよいよ、椿も、山茶花も終盤ですね。 ですが、散りゆく彼女たちを最後、すこし違った目線で見てみてはいかがでしょうか? 「たべる」、とくに花をいただくということは、一見 欲のある行いに見えるかもしれません。 でも、それを通じて得られる気持ちの中にはきっと、 今まで気づいていなかった自然への愛おしさや感謝、偉大さへの敬意、 そして自分と自然との繋がりへの気づきのようなものがあると信じています。 (そして、自然の中で自分の自然体にもどると、取りすぎる、ということもしなくなります。) 普段、あなたが、身近に自然を感じる生活をしていなくても。...
こころもまるく、春のミモザ遊び
一昔前まで、 ドライフラワーでしか知らなかった、 お花屋さんにしかないと思っていた、 そんなミモザに、今年はもう一歩、近づいてみたくなりました。 知ってましたか? 木に咲いているときミモザは本当に、手を目一杯ひろげたみたいに、 太陽が咲いたみたいに、大きく大きく、まるくまるく、咲くんです。 (摘みとると、途端に、するすると小さくなってしまうのですが...) *ちなみに、本来「ミモザ」とは、ピンクの花を咲かせるオジギソウ(Mimosa pudica、ネムノキ)の学名のことを指します。わたしたちのいう「ミモザ」には、アカシア (Acacia ~) という学名がついています。なぜ「ミモザ」と呼ばれるようになったかというと、オジギソウと ”ミモザ” の葉っぱが似ているため。 ”ミモザ” (アカシアの方) がミモザアカシアと呼ばれるようになり、いつのまにやらアカシアがとれて、気づいたらミモザになっていた...とか。 ちなみに、日本に多くあるのはギンヨウアカシア (Acacia baileyana)で、マメ科ネムノキ亜科の常緑高木です。 -- とある小春日和に、ミモザ遊びをしました。 ミモザ・ドロップ (ミモザの砂糖漬け) ミモザ色シュガー ミモザ&リンデンフラワーのリモンチェッロ ミモザのティンクチャー ミモザ染め ミモザ氷 白いお皿から、反時計回りに、ミモザドロップ、ミモザシュガー、ミモザのティンクチャー。 ミモザ・ドロップ (ミモザの砂糖漬け) スミレの砂糖漬けは有名ですが、ミモザも実は同じように砂糖漬けにして楽しみました。 モサモサしないの?と思われるかもしれませんが、シャリシャリの砂糖にまぶされるので、大丈夫。 ふくふくしい春の黄色、まるまるとしたフォルム。 思わず心も弾みませんか? 作り方 摘みたてホワホワのミモザの花だけを、ひとつひとつ切り取ります。 さっとゆでてアク抜きし、水分をやさしく拭き取ったら、濃いめのシュガーペーストにまぶします。(日本によくあるミモザ(銀葉アカシア)にはほとんど味はないので、少しここで香りをつけるといいのかなと思います。今回は少量の水、グラニュー糖に、アマレットを加えてみました。メープルシロップやはちみつでもきっと大丈夫!すみれの砂糖漬けを作るときみたいに、卵白でコーティングしてもOK) さて、大変なのは、ここから。まぶしたミモザを、細いお箸などで、丁寧にひとつひとつほぐし、お砂糖にまぶし、ぽとりぽとりと乾かしていきます。 しっかり乾いたら、完成です。 *食用については最後に追記ありますので読んでくださいね 直射日光を避けながらしっかりと乾かしたら、乾燥剤と一緒に、日光を避け保存してくださいね。 こちらのミモザ・ドロップと野の花を添えて、ミモザのシフォンケーキをつくってみました!^^ ミモザ色のシュガー 実はこちら、ミモザの砂糖漬けの副産物。 ミモザって、とっても綺麗な黄色が出るんです。 湯がいた時や、ティンクチャーにした時など、びっくりするほど綺麗な黄色が。 たっぷりと纏った、花粉によるところが大きいのでしょう。 砂糖玉を作った時、まぶしたあとに残ったお砂糖も、同じように綺麗なミモザ色。 これは勿体無い、と、こちらも乾燥とほぐしを繰り返し、最後はドライのミモザの花を混ぜ込み、綺麗なミモザ色のシュガーにしました。 普段、白砂糖は使わないのですが、こういう色を出したい時には有り難く使わせていただいています。 植物の色が見事に移しかえされると、嬉しくて、思わず飛び跳ねたくなるくらい、ウキウキします! ミモザ&リンデンフラワーのリモンチェッロ ちょうど同じころ、友人から、自宅の山で採れたという立派な無農薬レモンを(ありがたいことに、またまた!)いただきました。 そこで、二年前に漬け込んでおいた自家製のリンデン・リモンチェッロ( スピリタスにオーガニックリンデンフラワーと無農薬レモンのピールを漬け込んだもの) に、フレッシュなレモンピールをさらに加え、一緒に少しだけミモザを加えてみました。 みんな、春色で... とびっきり可愛い。 ふふっと、思わず、瓶を横から眺めたり、上から眺めたり...。 ミモザのティンクチャー オーストラリア原産のため、日本の植物としてはあまり馴染みのないミモザですが、調べてみると諸外国では昔からミモザの樹皮、葉、花のエキスが傷や火傷の治療などに用いられてきたようです。葉っぱのお茶を歯痛止めにしたり、タンニン豊富な皮を止血に用いたり、煎じて飲用し咳止めにしたり。(参考) 特に樹皮の薬効が高いようなので、今回は皮とまではいきませんが、枝・葉・花のすべてをウォッカに漬け込んでみました。これを使って、色々実験してみます。 儚くも、底抜けの明るさを感じるこの木の、この花が、瓶の中に収まっているだけでもとても愛おしく、特別な気持ちになります。 ちなみに、マニアックではありますが、ミモザには精油もあります。香りを持つ、フサアカシア (Acacia dealbata)の花と枝から得られ、リラックス効果のあるパウダリーな香りを持ちます。皮膚に対しては収斂作用や消炎作用、皮脂バランスの調整作用、抗菌作用などが期待されますが、刺激が強いので、使用には十分な注意と知識が必要。皮膚使用は避け、うっすら香りを楽しむだけでもいいかもしれません。 ミモザ染め ミモザからあまりに綺麗な黄色が溶けでてくるので、きっとこれは素敵な草木染めができるはず・・・、と思ったら、大当たり! ビワの葉染めのときのような、ふわり儚いピンクに染まり上がりました。 写真は、正絹を無媒染で。 なお、ミモザの種のさやは綺麗なグリーンが出るとか。 種自体も食用等に供されるようなので、いつかは種にもチャレンジしたいと思います。 ちょっと煮詰めて、まだ暖かいうちに、布を漬け込みます そして、この色。薄い珊瑚色。 ミモザ氷 せっかくのミモザ、最後のひとつの花まで、無駄にせず大事に使いたいもの。 籠のはじに、少し残った居残りミモザがいましたか? そうしたら、ぜひ、迷わず製氷機へ。 手間いらずで、とってもかわいいミモザ氷の出来上がり! 左から、ハマダイコンの花、ガマズミの実、ミモザ。 いかがでしたでしょうか? ひとつでも、あなたの心のワクワクスイッチを押せるものがあったら、嬉しいです。...