山椿と山茶花の、珊瑚色シロップ

一重で、すこし、控えめに咲く山椿。

そして、遠くからでも、その彩りを教えてくれる、山茶花。

どちらも、冬を彩り、桜へのバトンタッチする頃まで、長く私たちを楽しませてくれる花々。

 

花弁の色も、赤・ピンク・紋入りから、白や黄色まで。

古来から愛されていることもあり、地域特有の種や、園芸品種も多いですね。

 

椿と山茶花がなかったら、きっと日本の冬はもっと寂しい色合いだったことでしょう。

たくさんの野の花たち。椿、山茶花、木瓜、桜、菜の花、蓮華、菫...

椿と山茶花

 

椿と山茶花は、どちらもツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹です。

 

両者ともに身近だけれども、

実は見て楽しみ、唄って楽しみ、生垣となるだけではなく、

油を与えてくれ、お茶にもなり、そして、お花をいただくこともできるのです。

 

お茶にすることについては、緑茶の木である、茶の木(チャノキ)も、ツバキ科ツバキ属と知れば納得。

ただし、椿や山茶花のお茶の味わいは、お茶と違って大層あっさりです。

 

また、椿の花は、「山茶(さんちゃ)」と呼ばれる生薬で、開花直前のものを天日干ししたものを煎じ、滋養強壮、健胃、整腸に用います。

生葉は、生汁を擦り傷や切り傷に使うこともできます。

 

椿と山茶花の違いは、植物構造や、生存戦略から見れば多々ありますが、

わかりやすい違いは、花の散り方。

"椿は花ごと"ぽとりと落ち、"山茶花は花びらがぱらぱら"と落ちていきます。

 

散りゆく間も、その木の下を、それぞれの風合いで彩ってくれます。

 
 

そんな山椿と山茶花で、

珊瑚色の美しいジャムとシロップ、そしてゼリーを作りました。

奥がジャム、手前がシロップ。

 

思わず、ため息が漏れる美しさと、愛おしさ。

 

レシピ

  1. 八分咲きくらいの、山椿や山茶花のお花をいただきます。(もっとも見つけやすいのは、ご自宅の庭でしょうか。その場合は一年を通じ、除草剤等がまかれていないことをご確認ください。)

  2. その花弁のみをとりわけ、たっぷりのお湯でさっと湯がきます。

  3. ゆがいたら、冷水にとり、最低でも30分は水にさらします。これを、2回ほど、繰り返します。

  4. お鍋に、お好みの分量の水と、お好みの分量のお好みの砂糖類を加え火にかけ、溶かしていきます。(アバウトでごめんなさい!でも、どんな分量でも作れるんです。少なかったら後から足せるので、少なめからやってみてくださいね。花弁が少なくてもシロップに色味は出ます。お花が多いとそれだけ色も濃くなり、具沢山で贅沢な感じに。)

  5. そのお鍋に、水を切った花びらを加えます。

  6. 加熱しながら、酸を加えてゆきます。クエン酸でも、レモン果汁でも、レモンスライスでも、他の柑橘でも。特に量に決まりはありませんが、写真のようなくすんだ紫から、はっきりとした赤やピンクに発色するまで加えます。味見をしながら、少しずつ。個人的には、甘みがキュッと引き締まるくらいが好きです。

  7. 軽く煮立たせながら、全体をなじませます。アクが浮いてきたら丁寧にすくいましょう。

  8. シロップだったらこれで完成!ジャムにしたい場合は、ペクチンや、ペクチンを含有する林檎の皮などを入れながら、好みの濃さと質感になるまで煮詰めてください。花弁や糖分が多い場合は、ペクチンを入れなくてもトロリとします。

ゆがいているところ。色がさっと暗くなりますが、大丈夫!酸を加えれば、戻ります。

酸を加えると、花弁も、シロップ部分も、嘘みたいに綺麗に発色します!

同じ要領で、椿や山茶花の、ピクルスも作れます。

しっかりアク抜きをしたら、三杯酢などに漬け込むだけ。この場合も、くすんだ色味があっという間に美しく発色します!

花弁のほろ苦さと、その肉厚な食感を楽しめます。

ちょっとした、彩りとお口直しに。

まるごと、天ぷらでいただくのも、素敵です。

おっと、忘れていました!

ゼリー^^

ちょうど、糸島の海で拾った天草を使って、寒天を作った残りがあったので、今回はそれを使って。

 

普通の寒天パウダーを使う場合は、

  • 寒天 1g
  • お水+椿と山茶花のシロップ 250cc

くらいの割合が良さそうです。

寒天は、火にかける前にしっかり水となじませてください。

甘さはシロップの甘み次第で調節してくださいね。

 

椿と山茶花シロップは、微細な香りと味わいなので、

クランベリージュースなどを足しても良いかもしれません。

 

トッピングには、椿の花粉を。

 

椿も山茶花も、日本原産の植物。

 

椿にはCamellia japonica(カメリア・ジャポニカ) 、山茶花にはCamellia sasanqua (カメリア・サザンカ)という学名がついています。

 

昔は、山茶花もまとめて、椿とよんでいたようです。

(万葉集にも、椿はたくさん登場します。)

 

もういよいよ、椿も、山茶花も終盤ですね。

ですが、散りゆく彼女たちを最後、すこし違った目線で見てみてはいかがでしょうか?

 

「たべる」、とくに花をいただくということは、一見 欲のある行いに見えるかもしれません。

 

でも、それを通じて得られる気持ちの中にはきっと、

今まで気づいていなかった自然への愛おしさや感謝、偉大さへの敬意、

そして自分と自然との繋がりへの気づきのようなものがあると信じています。

(そして、自然の中で自分の自然体にもどると、取りすぎる、ということもしなくなります。)

 

普段、あなたが、身近に自然を感じる生活をしていなくても。

生きとしいけるすべてものは、同じ大地と同じ空とで繋がっているのだと、こんなちょっとした薬草暮らしを通じて、感じていただけたら嬉しく思います。

 

with love&care,

- suu - | 薬草ハーバリスト

Miho

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PS. こんなジャムやシロップ、お花摘みを楽しみたい方は、薬草リトリートへどうぞ。

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