霧と山 - ネムノキ

あまりに美しくてどうして良いか分からない霧の日だった。 ネムノキ。 終わり終わりの最期の花の時期。 霧深い森の中で出逢うと さながら、淡い紅色の妖精が降りてきたよう。

ネムノキ

マメ科ネムノキ属

その名は、夜になると葉が閉じる 「就眠運動」に由来

中国においては、夫婦円満の象徴

樹皮と葉は 「合歓」という精神安定の生薬 よく歌に詠まれる花は 不思議な甘い香り、 でも転写できない香り、 浸すとじんわり水を朱色へと染める花。 今はいろんな技術が発達しているから 無理矢理にでも香りを閉じ込めたり ケミカリーに復元したり ちいさなプラスチック粒子をつかうことで長く香らせることもできるけれども そうしないのが心地よい、 そうしないのが敬意な気がする

 風が吹くと
木は、まるで呼吸するみたいに
下から上へとゆっくりと
ふうわり膨らみ枝葉を鳴らす。
それはもう何もまるで敵わない美しさ

山と木と私しかいないところで
そんな薫り、こんな姿を目の前にすると
もう息をするのを忘れてしまうか、
この感動を一粒だって逃すまいと目を閉じて深呼吸をするかの、二つに一つ

良かったら、音を出して、
山の音、聴いてみてください

On one beautiful, almost unforgettable misty day in the woods, I met flowering Nemunoki -. Nemunoki, means “sleeping tree.” Its leaves slowly close during night time... Please turn the sound on- hope I can share some beauty of mountain with you.