薬草コラム — 薬草暮らし

野生のニラ花の醤油麹漬け

白くて繊細で... 美味しそうなこの花、実はニラ! 今この時期、あちらこちらに密生して咲く白い花...実はこちら、シーズンを迎えている"ニラの花"なんです。本当に可愛くて、咲く直前の蕾も愛らしくて...愛らしくて...愛らしくて...、そして、とても美味しそうではありませんか?(笑)でも私の住む糸島では、シーズンもあと少し。どうにかして、あともう少しだけ楽しめないかしら? そう思って、ふと思い立ったこのレシピ、 「野生のニラ花の醤油麹漬け」。   醤油麹とニラの花を合わせるだけの、簡単薬草調味料です。 この時は、麦麹とたまり醤油で 醤油麹の作り方 ご存知の方も多いと思いますが、醤油麹の作り方はごくごくシンプル。  ①清潔な瓶に、適量の麹をいれ、ひたひたまで同量のお醤油を注ぐ。 ②翌日、麹がお醤油を吸って減ったら、再びひたひたになるまで足す。 ③1日1回よく混ぜ合わせながら、常温で1週間ほどなじませるだけ。  *麹は、乾燥でも、生でも。米麹でも、麦麹でも、玄米麹でも何でもOK!    出来上がったら、冷蔵で数ヶ月保存がききます。 お肉やお魚の下味として、お醤油の代わりとして、ドレッシングやソースのベースとして... 旨味の強いお醤油として、気軽に楽しむことができる発酵調味料です。      ニラ花の醤油麹漬けの作り方   ①野から摘んできたニラを洗い、柔らかい部分を刻みます。 ②お花は花の部分だけを摘み取ります。(花が咲いた後の茎は、食べるにはやや硬いです...) ③あとは、醤油麹と混ぜるだけ! 切って、混ぜるだけ。ええ、それだけです! ニラの量が多くても、醤油麹の量が多くても大丈夫、お好みでどうぞ。 混ぜたら、もう次の瞬間からいただけます。私は数日おいて馴染ませたものが好き^^ この時は、知人が大切に作る無農薬玄米に、ご近所さんの卵、近くの山で摘んできた三つ葉を添えたら、幸福な卵かけご飯になりました。 アクセントに、ごま油をひとたらししてもとてもよく合います。 チヂミにもよく合いますよ〜! 冷蔵保存で数ヶ月は持ちますので、ぜひ色々と楽しんでみてくださいね^^   * ニラの見分け方 * ・秋の時期は、(1)この細かな白い花と、(2)ニラ独特の匂いとで見分けやすいニラですが、植物の同定(見分けること)には図鑑をおすすめします。ニラを育てたことのある方に見てもらい、聞いてみるものいいかもしれません。 ・ネットも便利ですが、間違った情報も散見されますので、どうかご注意くださいね。 ・ニラには、香りがニラそっくりなハナニラ(写真下)、シュッとした葉が似ている玉すだれ、スイセンや彼岸花など、強毒をもつ似た植物もあります。自己責任のもと、着実丁寧に、1本1本同定しながら採取してくださいね。  おまけ:こちら、4月の糸島のハナニラの様子です。(匂いはニラですが毒草です。ただし花の形が異なり、花期も秋ではなく春です。)  

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薬草花をいただく、という幸せ。

草花が好きです。花屋さんに並ぶ、華やかな子たちもだけれども、圧倒的に、野に咲く花が。わたしはお世辞にもこんなことを言うタイプの人間ではない、人工物大好き人間だったので、こんなことを言う日が30代前半で訪れるなんて夢にも思っていなかったのですが。野草が好き、だからこそ、私にとってその花(=その草が命をつなぐために丹精込めたもの)をいただくことは心の中で草に許しを請いながら行う、ちょっと特別なときのちょっととくべつなことで、でも飛び抜けて素敵で、文字通り、”華”やいだ気持ちにしてくれる贅沢な行い。 左から、ニラの花、葛の花、たんぽぽひとつ、黄色いスイカズラすこし、スベリヒユ、露草、白い細かな花はイタドリ 夏が終わって大地の熱がとれて、秋は風と一緒に潤いをもたらして、今、野山は春と同じくらい、華やいでいます。気づいていましたか?そうなんだ!と思ったら、道端でも、畦道でも、ふっと目を落としてみてください。ニラや、つゆ草や、ヤブガラシ、大荒地野菊、ひめむかしよもぎ、メマツヨイグサ…。名前は知らなくても大丈夫、でも、小さく花をつけている植物たちがたくさんいます。うちのまわりにはない?いえいえ、山の中でなくても、今あちこちで秋の花が咲いていますよ^^(事実、糸島はもちろん、今わたしは東京は自由が丘のカフェでこれを書きながらすぐ目の前の道路の脇に先に咲いているハゼランが気になって仕方がありません) そうそう、よもぎも白くてこまかな可憐な花を咲かせています^^これがまた愛らしくて・・・。先日、リトリートに来てくれた方が、「よもぎの花が好きなんです」とおっしゃって。気づかれにくいお花だけに共感できたことがとても嬉しい気持ちになりました。(ありがとうTさん)そんな先日は、秋の花々を祝うような秋の薬草花のサラダをつくりました。< 野草のフレッシュサラダ > ・野草たち - つゆ草の新芽、ノゲシ、すべりひゆの若芽、ハゼランの若芽、カキドオシなど)・薬草のお花たち - つゆ草、コマツヨイグサ、ツルムラサキ、ニラ、葛などお好きな野草たちをつんできたら、すぐに作ります。土などをはらうくらいの気持ちで、サッと洗ったら、さくさくとすきな大きさにカットして、お皿にふわっと盛りつけます。 グリーンには、オニタビラコ、たんぽぽ、みつば、スベリヒユ、ツボクサ、カキドオシ、ハゼラン。お花は、ピンクの葛、黄色の小待宵草とメマツヨイグサとカタバミ、青の露草、白のニラとイタドリ、薄紅色のツルムラサキ。手前に1本添えたのは水引。 癖のすくないたんぽぽやノゲシ、露草などは多めに。レタスやアルファルファなどと混ぜても食べやすくなります。カキドオシやツボクサは香りのハーブなので、アクセントにトッピング。露草は一瞬湯がけば柔らかくなり細かな毛もより一層気にならなくなります。ツルムラサキ、スベリヒユ、ハゼランは肉厚さを楽しんで。軽く茹でると肉厚さとぬめりが楽しめます。摘み取るときは、葉っぱが瑞々しい、朝一番、特に雨の翌朝がおすすめ。野草はその花によって、開花時間が異なります。例えば、・露草は朝から昼過ぎにかけて・ハゼランはティータイムごろに一瞬だけ・夕方になり日が落ちて来たら、マツヨイグサとコマツヨイグサが花をひらきます。なかなかみんなが花開いている、そんなタイミングは難しいのですがそれも含めてイマココな一瞬をお皿の上に閉じ込めて、楽しんでくださいね^^PS. ドレッシングは、薬草オイルでつくります。またこれはいつか。 まだ朝露のつく丸葉露草  - suu - /薬草ハーバリストMiho-----* 注意 *ここにご紹介する野草の食用については、"私"が "現時点で" "知り得る限り"のことを書き綴っております。全て<自己責任>のもとで、採取・食用なさってくださいませ。・植物の同定(見分けること)は決して簡単なものではありません。似た植物は山のように存在します。似た毒草もあります。また、本コラムは私がみなさんと野草の活用の喜びについて共有したく、一生懸命綴っておりますが、この記事だけを見て同定ができるほど細かくは書いておりません。(また、私も同定のプロではありません)・ネットの情報には間違ったものもたくさんあります。できる限り複数の書籍を使い、ネットの情報ならば大学や薬草園、行政発信のものなど信ぴょう性の高い情報をもとに、着実丁寧に1本1本同定してください。葉だけでの同定は難しいことも多いです。ベストは1年を通し気になる植物を観察し、新芽〜花〜結実までを各シーズン見届けながら探っていくことです。私もそうしています。・また当然ながら、採取は許されているところのみで許されている種類のみ行い、決して取りすぎず、貴重なものは根こそぎはとらず、1年を通じて除草剤などで汚染されていない場所から採取してください。・野草はエネルギッシュです。普段スーパー等で手に入れることができる一般的なF1種の野菜に比べ、良くも悪くも"成分が広く濃い"と私は感じております。体にあう・あわないもあると思いますので、ご自身の体と相談しながら、少しずつ楽しまれることをお勧めします。

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あめの、あとの。

しとしと雨、ゴロゴロ雨が続いています、糸島。雨をみると各地で続く災害に気持ちが行き、心も曇りがちですが植物たちはなんのその、雨のあとは本当に生き生きとしています。待っていましたとばかりに一気に若葉を出し、花を咲かせ、実を熟させる。くすんでいた葉色も、あっという間に青々とした緑へと戻ります。見ている私も力をいただくようです。今朝のおさんぽで、”食べて^^”といわんばかりの、ぷりっぷりの肉厚のハゼランを見つけました。 少しボケていますが、手前の肉厚の植物がハゼラン。   一緒に、スベリヒユ、葛の花、露草に、秋よもぎの新芽も。ちょっと珍しい、イチジクの仲間のオオイタビにも出会いました。   ハゼランもスベリヒユも、その肉厚な食感とぬめりを楽しめる、素晴らしい緑黄色野菜。今日はお揚げと卵液に浸したお麩と一緒にジャッと火を通して、卵とじに、露草と葛花を添えて、よもぎはエキスを絞ってスムージーに入れて。 秋新芽は、春とはまた違う風味でお茶にしても本当に絶品で、よもぎ茶の作り手としては思わず頬がほころびます。 ハゼランは特に今の時期、花を咲かせていて同定がしやすいのでぜひ楽しんでいただきたい植物のひとつ。味わいは、アク少なくすこし粘りのけのあるほうれん草、といったところでしょうか?セイロンほうれん草との別名もあるそうです。なお、この華奢な花は午後の数時間しか花開きません。この蕾が、線香花火のように花開く(はぜる=はじける)こと、花が蘭のように美しいことからハゼランと呼ばれています^^糸島では、観賞用切り花として直売所に売っていたりもします^^とても美しい植物です。 みなさんもぜひ、秋の食卓を楽しまれてくださいね。#月の巡りと薬草暮らし @ Itoshima-shi, Fukuoka, Japanブレンド野草茶 - suu -薬草ハーバリスト/獣医師Miho-----* 注意 *ここにご紹介する野草の食用については、"私"が "現時点で" "知り得る限り"のことを書き綴っております。全て<自己責任>のもとで、採取・食用なさってくださいませ。・植物の同定(見分けること)は決して簡単なものではありません。似た植物は山のように存在します。似た毒草もあります。また、本コラムは私がみなさんと野草の活用の喜びについて共有したく、一生懸命綴っておりますが、この記事だけを見て同定ができるほど細かくは書いておりません。(また、私も同定のプロではありません)・ネットの情報には間違ったものもたくさんあります。できる限り複数の書籍を使い、ネットの情報ならば大学や薬草園、行政発信のものなど信ぴょう性の高い情報をもとに、着実丁寧に1本1本同定してください。葉だけでの同定は難しいことも多いです。ベストは1年を通し気になる植物を観察し、新芽〜花〜結実までを各シーズン見届けながら探っていくことです。私もそうしています。・また当然ながら、採取は許されているところのみで許されている種類のみ行い、決して取りすぎず、貴重なものは根こそぎはとらず、1年を通じて除草剤などで汚染されていない場所から採取してください。・野草はエネルギッシュです。普段スーパー等で手に入れることができる一般的なF1種の野菜に比べ、良くも悪くも"成分が広く濃い"と私は感じております。体にあう・あわないもあると思いますので、ご自身の体と相談しながら、少しずつ楽しまれることをお勧めします。

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秋の、はじまり

9月になりました。夏の間の日差しはただ大地を焦がしただけではなく太陽の下で外へ外へと葉を伸ばした植物たちの触れることのできる、確かな実りとなっていました。いま、野山は、秋を迎えようとしています。 みなさんはどんな夏を過ごしましたか?暑さは、いろいろな感覚を少し緩めます。喜びや、楽しさは、解き放たれるように広がります。と同時に、悲しさや冷えは、その陰に隠れ、鈍化し、少し気づきにくい時だったかもしれません。 秋になると、夏に感じていたこと、夏に自分のからだにしてきたことが、それがまるで実るかのように表に姿をあらわしはじめるから、不思議です。どうぞみなさま、ご養生ください。土のもの、生姜などのからだをあたためるもので、夏の疲れを癒しながら、外へ外へと広がっていた意識をぐっと内へと戻して参りましょう。葡萄蔓(エビヅル)、木通(アケビ)、郁子(ムベ)、野茨(ノイバラ)、石榴(ざくろ)、 野葡萄(ノブドウ)、イヌビワなど… (四年目にして初めて、たった一つ実をつけた我が家のざくろ。)   太陽のちからを、ぎゅっとあつめた、愛おしい実りたちが野山の緑の中にちらり、ほらり。・・・色づく頃には、どんな秋の薬草仕事をしましょうか。変わっていく風の香りのなかに過ぎ去る夏への名残惜しさを感じながら来たる次の季節の恵みに、出逢いに、想いを馳せます。 覆うように咲く、仙人草の花。 無花果の原種、イヌビワ。雄木なので実は硬く小さい。美味しい雌木をみつけてね。 ごくわずがですが、満月と新月のよもぎ茶を再販しました。今がその流れ、今がその時、という方のもとへお届けできますように。秋のイベントのお知らせも、少しずつしていきますね。    

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